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原爆落下中心地に立ち上がる被爆者の「声」。松久保修平評 竹田信平 「声紋源場」プロジェクト

メキシコ・ティファナとデュッセルドルフを拠点に、長く核の問題をテーマとして活動してきたアーティスト竹田信平が、今夏長崎にて被爆者の「声」を使ったプロジェクト「声紋源場」の公開制作とパフォーマンスを行った。プロジェクトの過程を見てきた長崎県美術館学芸員の松久保修平がレビューする。

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珠玉の版画作品が問いかける。「日本美術史とは、何か?」 小金沢智評「もうひとつの日本美術史  近現代版画の名作2020」展

明治から平成にかけての版画の名作約300点により、日本の近現代を振り返る展覧会が福島県立美術館にて開催された。これまで日本の美術の歴史を語るうえであまり光が当てられることのなかった「版画」を文脈として、地方から見えるもうひとつの近現代日本美術史を編み直す。版画表現の歴史を振り返りながら、キュレーターの小金沢智が本展をレビューする。

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芳香が充満する展示室のなかで AKI INOMATA評「廣瀬智央 地球はレモンのように青い」展

イタリア・ミラノを拠点に活動する廣瀬智央の個展がアーツ前橋にて開催された。1997年に発表した、約3万個のレモンを用いる《レモンプロジェクト 03》のほか、イタリア渡航以後に発表した初期作品や国内未発表作品、そして新作を含めた約100点でこれまでの廣瀬の活動を展覧。本展を、アーティストのAKI INOMATAがレビューする。

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いま、バウハウスを検討/実践するために。永瀬恭一評「バウハウス100年映画祭」

建築、デザイン、写真など様々な分野を横断する造形学校としてドイツに誕生し、その後ナチスの迫害を受けてわずか14年で閉校したバウハウス。その創設100年を記念して、2019年から全国で「バウハウス100年映画祭」が開催されている。ラースロー・モホイ=ナジの生涯を追った上映作品『ニュー・バウハウス』を中心に、バウハウスにおける芸術教育のあり方から見えるものを画家・永瀬恭一が論じる。

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虚構へと向かう世界への応答。飯岡陸評 Ryu Ika展「The Second Seeing」

現実世界を舞台に見立て、空虚に感じるその理由に迫ろうとした「Big Brother is Watching you」で「1_WALL」のグランプリを獲得したRyu Ika(劉怡嘉)の受賞展がガーディアン・ガーデンにて開催された。内モンゴルで生まれ育ったRyuの作品世界で表される、イメージのなかで生きる私たちについて、キュレーターの飯岡陸がレビューする。

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緊急事態を再認識できなくなるとき。 佐原しおり評 「Emergency Call」

コロナ禍で様々な分野のオンラインコンテンツが配信されている。評論家としても注目を集めるアーティストの大岩雄典は、展覧会「Emergency Call」をキュレーション。それは指定の番号に電話をかけることで美術家、音楽家、博士、SF作家、俳人、歌人など17組による音声を自動再生で聴く、40分05秒の「電話展示」であった。日本国内の緊急事態宣言解除まで続いたこの試みを、埼玉県立近代美術館学芸員の佐原しおりがレビューする。

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親密さと距離のワンセット。中島水緒評 qp「明るさ」

2019年に7年ぶりとなる個展「セルヴェ」をパープルームギャラリーにて開催し、デジタル移行前のアニメのセル画にヒントを得た手法を用いた作品を発表したqp。1年後の開催となった本展では、約4ヶ月という短期間で集中的に制作された作品を発表した。SNSでの発信もマイペースに行うなかで、リアルな展示から浮かび上がるものは何か。美術批評家の中島水緒がレビューする。

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空間との会話と、作家の変化。中村佑子評 「内藤礼 うつしあう創造」展

金沢21世紀美術館で開催された内藤礼の個展は、大小様々な展示室や光庭、通路といった空間と呼応するように構成された。コロナ禍のただなかに開催された本展における作家の変化について、ドキュメンタリー映画『あえかなる部屋 内藤礼と、光たち』(2015)を監督した中村佑子が論じる。

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「無名な人々」は存在するのか。大下裕司評 大阪人権博物館(リバティおおさか)「35年展」

1985年に大阪人権歴史資料館として開館し、被差別部落問題、在日コリアン、ウチナーンチュ、アイヌ、公害被害者、ハンセン病患者、薬害被害者、LGBTQ、いじめなど様々な人権問題を紹介してきた大阪人権博物館(リバティおおさか)。同館は、2015年の大阪市による提訴と今年3月の和解を受け、5月31日に閉館した。35年の節目として、そして現施設での最後の展覧会として行われた「35年展」を、大阪中之島美術館準備室学芸員の大下裕司がレビューする。

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彼がまたいだその境界線は何か。中村史子評「式場隆三郎:脳室反射鏡」展

民藝運動、ゴッホ論、精神病理学入門、性教育など、広範にわたる分野で活動し健筆をふるった精神科医・式場隆三郎。彼の多分野にわたる啓蒙の軌跡を、約200点の作品と資料でたどる展覧会が広島市現代美術館で開催された。式場が横断した境界線、またその活動の内奥を、愛知県美術館・学芸員の中村史子が考察する。

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天皇制の歴史的考察と表現の自由をめぐって。清水穣評 「天覧美術 御所編」展

京都・KUNST ARZTで、同ギャラリー代表でアーティストの岡本光博が企画する「天覧美術 御所編」展が開催。岡本のほか、木村了子、小泉明郎、鴫剛、藤井健仁が参加した。天皇制をめぐるタブーを中心に、政治や表現の自由などのテーマを扱った作品で構成された本展を、清水穣がレビューする。

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パンデミック下の独り言とその空虚。椹木野衣評 「ダークアンデパンダン」展、「隔離式濃厚接触室」展、大岩雄典「遭難 Getting Lost」展

コロナ禍で増加したオンラインの展覧会や上映。卯城竜太らは鑑賞者を限定したフィジカル展とオンライン展からなる「ダークアンデパンダン」を、布施琳太郎は、ひとりずつしかアクセスできないウェブサイトを会場とした「隔離式濃厚接触室」を、大岩雄典は、真っ白なウェブページのなかで作品を探索するオンライン展示「遭難 Getting Lost」をそれぞれ開催した。現代の遠隔通信が持つ空虚や滑稽さと、それらを批評的に扱った3展について、椹木野衣がレビューする。

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いま問われる、写真とジェンダーの関係性。ダニエル・アビー評「New Photographic Objects 写真と映像の物質性」

埼玉県立近代美術館で、現代日本のアーティストによる新たな写真・映像表現に焦点を当てた「New Photographic Objects 写真と映像の物質性」展が開催中だ。「物質性」というテーマと背後にあるジェンダー意識について、写真研究者のダニエル・アビーが論じる。

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つくり、残ったものはどこへ行く? 福永信評「青木陵子+伊藤存 変化する自由分子のWORKSHOP」展

個別にアーティストとして活動しながら、共同制作を行ってきた青木陵子+伊藤存。この二人による展覧会「変化する自由分子のWORKSHOP」が、東京・神宮前のワタリウム美術館で開催された。2017年と2019年に参加したリボーン・アートフェスティバルでの滞在制作を経た二人が展開する「ワークショップ」を、小説家の福永信がレビューする。

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